寺島珠雄 年譜

1925年

(大正14)

8月5日、東京府北豊島郡西巣鴨町3214番地で生まれる。
父大木操30歳、母ゆき26歳の次男(長男静男)。
一治(カツハル)と命名。

1932年

(昭和7)
千葉県東金町東金小学校に入学。
1938年
(昭和13)
東金小学校卒業、成東中学校入学。秋、関東中学校へ転校。
文学少年、不良少年への傾斜を強めた。
1940年
(昭和15)
中学中退。菊岡久利、西山勇太郎を読み、辻潤につよくひかれる。
兄とともに飛行機会社に就職。
新宿旭町の木賃ホテルに初めて泊まる。
詩集「道標のない地帯」刊。
1941年
(昭和16)
ハルピン市建設現場、大観堂書店出版部、北海道炭鉱夫などを転々。
1942年
(昭和17)
石川三四郎の紹介で木村荘太のもとで農夫蒹学僕生活の予定が徴用令。
三菱造船横浜ドックに徴用されるも逃げ出し放浪、憲兵隊に留置される。
「若い人」に初めて詩を投稿、掲載。
父の薦めで海軍志願兵を受験、合格。
1943
 〜44年
(昭和18
   〜9)
5月、横須賀第二海兵隊に入る。
8月、鈴鹿海軍航空隊に配属。
外出から帰らずに戦時逃亡罪で懲役1年8ヶ月の軍法会議判決、横須賀海軍刑務所に服役。
1945年
(昭和20)
不馴化性全身衰弱症で入院。敗戦による第一次釈放で帰宅。
小私鉄に就職。
帰宅挨拶に対する木村艸太(荘太)の返信で辻潤の死を知る。
兄静男とでガリ版雑誌「ぶらつく―黒色或は散策」創刊。西山勇太郎ら寄稿。
職場で労働組合結成、組合長になる。
1946年
(昭和21) 1月、「ぶらつく」第二冊発行。4月、第三冊、8月、第四冊発行。
第三、四冊でダダカンスケの獄中遺稿などを特集。
「じんみん新聞」「千葉新聞」「ダダ」「コスモス」などに作品を発表。
岡本潤、小川三男(光生)と親しむ。H映画社に入社。
1947年
(昭和22) 結婚。百日余で破綻。仕事も放棄してヤミ市地帯放浪。
「詩精神」「平民新聞」などに寄稿。「ぶらつく」は第五冊で終刊。
秋山清、石川三四郎、伊藤和などが寄稿。
1948年
(昭和23) 町内の縫製工場で労働組合結成、工場占拠スト(70日間)。
鋼鉄メーカーに就職、労働組合書記長に。
左翼労働運動中枢と接触深める。
詩集「ぼうふらのうた」刊。
1949年
(昭和24) 松尾邦之助、大沢正道の自由クラブに参加。
労組運動に倦怠、発表の当てのない文章を書く。
辻潤の墓碑建立記念の「陀仙忌」に参加。
1950年
(昭和25) 木村艸太(荘太)自殺。
運河に浮かんだ木造船アパートのU夫妻に寄食。
1954年
(昭和29) “寺島珠雄”のペンネームを使って初めて小説を書いた。
この頃、神戸異人館街近くの喫茶蒹食堂で働く。
1955年頃
(昭和30) 東京山谷の食堂と深夜酒場の調理場で働く。
1960年頃
(昭和35) 大阪中津の飯場、ビル工事現場でトビ職作業を習得しかけた。
1962年
(昭和37) 父、京都武徳殿で剣道の試合中に死去。
二度目の山谷、食堂で働く。
石川三四郎死去。
1966年
(昭和41) 釜ヶ崎暮らし、飯場暮らしのなかで詩作再開。
「人間喜劇」が創刊され参加。
1967年
(昭和42) 西山勇太郎死去。
1969年
(昭和44) 「釜ヶ崎通信別冊―まだ生きている」刊。
岡本潤、菊岡久利、小川光生、竹島昌威知などの寄稿。
1970年
(昭和45) 大阪万国博覧会、労働現場。
「どぶねずみの歌」刊。
同人誌「鯤」創刊。
高橋徹、三好弘光、粟田茂などが参加。
小野十三郎を調べ始める。ドヤの三畳間は古雑誌倉庫となる。
「労務者渡世」創刊。毎号に記事を書く。
小川三男死去。
1977年
(昭和52) 母、ゆき死去。
1978年
(昭和53) 釜ヶ崎を出て尼崎へ。ドヤからアパートへ。
岡本潤死去。
1982年
(昭和57) 妹、文江死去。
1983年
(昭和58) 尼崎市内、出屋敷から立花へ転居。最後の引越し、終生の住処。
1988年
(昭和63) 秋山清死去。
1990年
(平成2) 「低人通信」第2次1号、発行。A4判三つ折り、両面。

    “挨拶、ではなくてウダウダのはじまりとして。”

1991年
(平成3) 竹中労死去。
1994年
(平成6) 兄静男死去(7月27日)。
1995年
(平成7) 1月15日、阪神大震災に被災。室内全倒壊。アパート屋根損傷。
「後ろから放り投げられたような…」地震体験。
「寝ていたら、本の下敷きで死んでたかも知れない…」
習慣の朝風呂途上で身体は無事。
1996年
(平成8) 小野十三郎死去。
1999年
(平成11) 3月頃より断酒、激痩せ。
6月12日、肝臓および食道癌と診断。
6月23日、八尾医真会病院に入院。
7月22日午前11時35分没。享年73歳。

参考:「寺島珠雄詩集」所収自筆年譜、「楽市」34号、「雲遊天下」22号