Snap Shot 3

このサイトでもお知らせしてきた、スタジオUVの山岡俊二氏の個展が、銀座、札幌に続き、大阪梅田のキャノンサロンで開催されました。
35mmフィルム超微粒子現像とバライタ印画紙による手焼きプリント、「古典的」な手法が、反って新しく新鮮に見えます。
白は紙よりも白く、黒は闇よりも黒い、というのが、モノクロ写真の凄さであり、醍醐味でもあります。
デジタル出力や商業印刷、あるいは、やっつけ仕事に慣らされた眼には、全体が見えてくるまでにとても時間がかかるような気さえしてきます。
久しぶりに「気」のはいった写真を見せていただきました。

モーツァルトが好きだと仰る山岡先生の作品には、光と影とモチーフが、無限に協調して行くような世界があると思います。
「コンチェルト・イン・ブルー」と題された83年の個展では、Aタイプ・フィルムによるブルーなモノトーンの協奏曲的世界が新鮮で、静かなる感動を与えました。
そして今回は、より天上的な、レクイエムとも言える無限調和の世界へと昇華されたように思います。
それが、「癒し」などという生半可な感覚ではなく、時には厳しく、時には優しく語りかけるように、見る者の想像力を刺激してやまないのだと思います。
言葉を必要としない、言葉を越えて行く、写真だけの世界が、ここには在ります。