視的生活
-042-
島原

島原

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島原への行き帰りに、長らく本棚に立てたままだった『天才アラーキー写真ノ方法』(荒木経惟著/集英社新書)を読みました。
写真はともかく、彼の文章(この本は聞き書きらしい)を読むのは久しぶり。
酒も手伝って、いい加減な話が並んではいますが、さすがに、天才はキラキラ輝いています。

「考えてみるとね、写真というコトの中にはウソとマコト、虚実が混ざって入っているんだね。それであたしはともかくシャッターを無心に押しているだけなんだよな。私に主体性はないのよ。主体性は被写体にあるってこと。さっき、物語は写される側にあるって言ったけど、それと同じことだな。何が主観が、何が客観かということを見きわめたいとも思わないんですよ。もしかしたら、あたしに客観性というものがないかもしれないんだから。」

「今回の最後はちょっとマジに言っとくけど、写真は現実を見せられないっつうことですよ。写真と現実は違うだろ?写真は、現実に触発された何かなんだな。嘘つきの(ほう)が現実に近いってことがあるからね。現実は幻実です。」

イラクへ派遣されてしまった自衛隊に関する報道は、我々にいったいどんな映像を届けてくれるのでしょう…。

_2004.2.7